その自動売買、正体は「投資助言」だ|取引所FXの選択型システムトレードを分解する
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浩二です。自動売買の広告を見ていて、ひとつ引っかかる表現がありました。「システムトレード」と書いてあるのに、提供者の説明では「投資助言サービス」となっている商品がある。同じものを指しているのか、違うのか。フジトミ証券のシストレセレクト365を例に、重要事項の文面を読んで分解しました。2026年9月14日時点の公開情報です。
まず、売っているのは「助言」である
同社の重要事項の冒頭にこうある。「シストレセレクト365は、東京金融取引所に上場するくりっく365を対象とした投資助言サービスです」。取引そのものではなく、助言が商品だという宣言です。
では発注はどうするのか。続く一文が答えになります。「シストレセレクト365の付随機能「自動売買管理サービス」とお客様が当社に開設されるくりっく365口座を利用して自動売買をおこなわせることが可能です」。助言が本体で、自動発注は付随機能という組み立てになっています。
ここを押さえると、後半の止まる条件がなぜ細かく書かれているのかが腑に落ちます。助言と発注が別レイヤーなので、発注側でつまずくと助言だけが残る状態になりうるわけです。
くりっく365が対象、という意味
対象は店頭FXではなく取引所FXです。東京金融取引所に上場するくりっく365を対象としている。くりっく365については外為オンラインの記事でも触れていますが、口座の種類が違えば税制も取引ルールも変わります。自動売買の中身を比べる前に、土俵が同じかどうかを見る必要があります。
そして利用にあたっては、シストレセレクト365の契約締結前交付書面と、くりっく365の取引説明書の両方を理解したうえで使うよう求められています。書面が2つあるというのも、助言と取引という二層構造の表れです。
中身はどこまで開示されているか
売買判断の根拠は、部分的にしか見えません。同社の記載はこうです。「各ストラテジーの売買判断基準はそれぞれのストラテジー画面に表示のテクニカル指標により機械的に判断されますが、利用しているテクニカル指標のパラメータ等の詳細は公表しておりません」。
使っている指標名までは読めます。ただし期間や閾値といったパラメータは非公表です。隠しているというより、選択型の自動売買はそういう設計だと理解したほうが早いと思います。
採用の手前には検証があります。「当社が提供しているストラテジーは、全て当社システムトレード事業部及び分析者による」インサンプルテストとアウトオブサンプルテスト(原文には注釈番号が付く)による「バックテストの結果を基に採用しています」。学習に使った期間と、使っていない期間の両方で試している、という説明です。
勝手に止まる条件が3つある
ここが実運用でいちばん効きます。重要事項には、稼働が止まる場面が具体的に書かれています。
- 注文がエラーになったとき。「自動売買管理サービスにより発注された注文がエラーとなる場合、稼働していたストラテジーは稼働停止となり、再発注は行われません」。再発注しない、と明記されている点が重要です。
- 自分で決済したとき。「稼働中のストラテジーが建玉を保有時に、当該ストラテジーが保有した建玉に対して、手動、ロスカットなど当該ストラテジーの売買サイン以外による決済注文が発注された場合、当該ストラテジーは稼働停止となります」。良かれと思って手を出すと止まります。
- 回線や価格配信が途切れたとき。「取引所を含むシステム間の回線が切断した場合や取引所において価格配信が停止した場合等、自動売買管理サービスにより発注された注文がエラーとなり約定しない可能性があります」とされ、結果として1の停止につながります。
働きながら回すなら、止まったことに気づく仕組みを自分側に持つ必要があります。放置してよいのは注文の判断であって、稼働状態の確認ではありません。
成績表示の読み方
ランキングやストラテジー詳細に出るパフォーマンスには但し書きが付きます。「あくまでも過去の試算結果であり、将来も同様の結果になることを約束するものではありません。そのため相場の状況によっては、想定以上の損失となる場合があります」。
さらに、表示と実損益がずれる理由も書かれています。「各ストラテジーの運用成績は、売買サイン生成時の価格及び時間をもとに算出したものであり、お客様が自動売買管理サービスを利用して注文が約定した際の価格や時間と異なる場合があります」。加えて「ストラテジーの運用成績には、スワップポイントは加味されておりません」。
サイン時点の価格で計算した数字と、自分が実際に約定した価格は別物です。この差は回数を重ねるほど積み上がります。
複数稼働は両建てになりうる
同社は複数のストラテジーを選んで稼働できるとしたうえで、「同じ銘柄の異なるストラテジーを稼働させる場合、両建てになることがあります」と明記しています。分散のつもりが、同じ通貨ペアで売りと買いを同時に持つ形になることがある、ということです。
僕が確認する順番はこうしています。①対象の銘柄が重なっていないか、②止まる条件を把握しているか、③成績表示の但し書きを読んだか。この3つを通してから稼働ボタンを押すようにしています。
よくある質問(FAQ)
シストレセレクト365は何のサービスですか?
フジトミ証券は「東京金融取引所に上場するくりっく365を対象とした投資助言サービスです」と説明している。付随機能の自動売買管理サービスと、同社に開設するくりっく365口座を使って自動売買を行わせることが可能とされています。
ストラテジーの中身は見られますか?
一部だけです。売買判断基準はストラテジー画面に表示のテクニカル指標により機械的に判断されるが、利用しているテクニカル指標のパラメータ等の詳細は公表していないと明記されています。
稼働中に手動で決済したらどうなりますか?
そのストラテジーは稼働停止になります。ストラテジーが保有した建玉に対して、手動やロスカットなど売買サイン以外による決済注文が発注された場合、当該ストラテジーは稼働停止となると明記されています。
注文がエラーになったら再発注されますか?
されません。自動売買管理サービスにより発注された注文がエラーとなる場合、稼働していたストラテジーは稼働停止となり、再発注は行われないとされています。
公開されている成績はそのまま自分の損益になりますか?
なりません。各ストラテジーの運用成績は売買サイン生成時の価格および時間をもとに算出したもので、実際の約定価格や時間と異なる場合があるとされ、成績にスワップポイントは加味されていないと明記されています。
一次情報:フジトミ証券「シストレセレクト365」および同「シストレセレクト365のご紹介」(投資助言サービスである旨と自動売買管理サービスの位置づけ、パラメータ非公表、インサンプル/アウトオブサンプルテスト、注文エラー時の稼働停止と再発注なし、売買サイン以外の決済による稼働停止、成績の但し書きとスワップ非加味、複数稼働時の両建て/2026年9月14日確認)